騒音防止要求書等の作成を通して、マンション等における騒音トラブルの解決を支援します。

騒音防止要求書等の作成などで、騒音トラブル解決のお手伝いをします
アパート・マンションの騒音トラブル:確認・準備編 > ~ 解決に向けて ~
はじめに

当ページは、マンション等で起きている騒音トラブルの解決法などを説明しています。

加害者・被害者、双方の立場で考えるべきですが、今回は被害者側の立場でお話します(適宜更新予定)。

現在、騒音トラブルで悩んでいる方の騒音問題解決の一助となれば幸いです。

※既に紛争状態に入っている、相手方との交渉をおこなう場合や、民事調停・訴訟を前提としている場合は、弁護士にご相談ください。

生活騒音の種類

マンション等の集合住宅で起きている騒音問題は、下記のものが多いと思います。

  • 足音・物音…固体伝播音(床や壁など固体が振動して伝わる音)
  • テレビ・ステレオ、大声、奇声、絶叫、夜のバカ騒ぎ…空気音
  • 車・バイク関連(アイドリング)、カラ吹かし
  • 楽器(ピアノ、ギター、ゲーム「○鼓の達人」)
  • エアコンの室外機・給湯器等の動作音
  • ペットの鳴き声

など

※「○鼓の達人」も楽器扱いとしています。

生活騒音を規制する法律はない

生活騒音について、一般家庭から発生する生活騒音は、法律などの規制の対象となりません。

だからといって、解決できない訳ではありません(泣き寝入りしなくても良いです)。

各都道府県において、騒音の規制基準が設けられています(これを生活騒音に置き換えて判断します)。

話し合いで解決できるのが理想ですが、民事調停・訴訟を視野にいれておくのも良いと思います。

生活音と生活騒音の境界線

生活音とは、室内の日常生活において発生する音をいいます。例えば、足音、話し声、ドア・窓の開閉音、洗濯機や掃除機などの使用音、テレビやステレオの音などです。

これらの音が受忍限度を超えると、立派な騒音(生活騒音)です。

受忍限度を超えているか否かの判断

訴訟に発展した場合、受忍限度を超えているかどうかが判断されます。

受忍限度を超えるか否かは、以下の要件を総合的に(様々な要件を考慮して)判断されます。

  • 地域環境(用途地域)、暗騒音
  • 公共性
  • 騒音の発生時間帯・期間・継続時間・継続期間
  • 騒音レベル(音量、音圧)
  • 相手方への申し入れ状況、それに関する相手方の対応
  • 記録(メモ、録音・録画)の有無 ※客観的に説明・証明できるか否か
  • 健康被害の有無
  • 先住性
騒音問題発生後

騒音問題は、ネットの相談サイト等に投稿しても解決できません。

とにかく、実際に行動を起こすことが大事です。

ざっくり申し上げると、管理会社、不動産屋さん、大家さん、管理組合(自治会)などに相談する等です。

解決への具体的な行動は、解決(行動)編に記載します。

音源(騒音発生元)の特定

集合住宅は、思いもよらぬ場所から音が聞こえてくることがあります。

まず、音源(騒音発生元)場所を確認・特定します。

発生元が特定できてきない状態で苦情を入れるのは控えたほうが良いです。

用途地域と規制基準の確認
  • 用途地域

    各都道府県(用途地域)により基準値等が異なりますので、ご自身がお住まいの用途地域をご確認ください。

    例えば、第一種住居専用地域、第二種住居専用地域など。※ちなみに、弊所は近隣商業地域内に位置しています。

    横浜市の用途地域を調べる場合は、こちら

  • 規制基準

    生活騒音を規制する法律はありませんが、その他の騒音を規制する法律の基準値を参考にします。

    例えば、横浜市では、「生活環境の保全などに関する条例」にて、騒音の規制基準が定められています。

参考までに

近隣商業地域・商業地域・準工業地域は、

午前8時から午後6時まで:65dB

午前6時から午前8時までと、午後6時から午後11時まで:60dB

午後11時から午前6時まで:50dB

となっています。

騒音の証拠確保

とにかく、証拠を確保します。

論より証拠というくらいです。相手を黙らせるには、やはり証拠です。

騒音発生元が特定していない段階でも、とにかく録音等しておくと良いです。不要なものは、あとで消せば良いだけですので。

証拠は大きく二つに分けられます。

一つ目は、騒音の記録(1.音声を録音、2.騒音測定、3.騒音状況メモ)です。

二つ目は、相手方への申し入れ状況(4.相手方からの応答・対応)の記録です。

1.音声を録音する

録音に使用する機器は、ボイスレコーダー(ICレコーダー)、MP3プレイヤー(録音機能)などでしょうか。

録音した音量は小さいと思いますが(集音マイクの使用や、増幅装置経由で録音すると良い)、どんな音声が聞こえてくるかを記録できれば充分です。

ボイスレコーダーであれば、声は良く録れます。しかし、足音や物音などの振動に近い音、いわゆる個体伝播音の場合は、リニアPCMレコーダーのほうが良く録れると思います。

2.騒音計で測定する

騒音計といってもピンからキリまであります。

初期段階(管理会社への相談、相手方への申し入れ段階)では、安価(¥2,000前後)なもので問題ないと思います。また、スマホなのどの騒音計アプリを使用しても問題ないと思います。

要は、相手方に現状を知らしめる材料になれば良いのです。

ただ、訴訟を予定しているのであれば、騒音計等で記録している模様(騒音計の画面)を、ビデオカメラで撮影しておくことをお勧めします。

3.騒音状況のメモ

<メモの記載項目>

  • 発生日付(年月日)
  • 時刻

    「○時~○時まで」や、「○時から1時間」など

  • 発生状況

    (どこで、どういった音声が聞こえるか。「ドタバタ」「ドコドコ」など、擬音で表しても良いと思います。)

  • その他の状況

    例えば、天候、騒音計での測定場所、感想『爆音がしてビックリした』など

  • 騒音計での測定値

4.相手方への申し入れ状況(相手方からの応答や対応)の記録・保存

齟齬を回避するため、相手方からは、必ず書面で返答してもらうようにします。なお、回答を拒否された場合や口頭で回答してきた場合、その旨(内容)をメモをしておきます。

どれくらい録音すれば良いか

どれくらいの期間(時間)、音声を記録すればい良いかなど疑問があると思います。

結論から言うと、”音声の記録は、それほど要らない”です。

問題となっている音声が録れていれば、長時間・長期間、ダラダラと録音する必要はありません。

少々の音声記録と騒音が発生している期間中の手書きメモ(騒音計での測定値)があれば、証拠として充分です。

調停もしくは訴訟に発展した場合、調停員や裁判官が、全ての録音を聴いてくれるとは限りません(たぶん聞かないでしょう。)

メモの証拠能力・証明力

証拠能力 : 証拠能力とは、その証拠を事実認定の資料として用いるための証拠の形式的な「資格」のことをいいます。証拠として使えるということです。

証明力 : 証明力とは、その証拠が事実を認定するのに役立つ度合のことをいいます。

  • 手書きのメモに、(民事訴訟で)証拠能力はあるのか?

    あります。

  • 同様に、手書きのメモに証明力はあるのか?

    あります。

    ただし、録音・録画記録、計測器等での測定値といった、客観的データ等には劣ります。

なお、メモ(記録)はPCでの打ち込み(デジタル)より、手書きの方が良いです。

ルーズリーフなど、バラせるものよりノート型が良いです。改ざん(書き換え)防止というよりは、差し替え防止の意味が強いように、私は思います。

ボールペンなど、消せないインクで記入します。

やってはいけないこと
  • 初期段階で加害者(騒音発生元)に直接苦情をいれること

    こじれる恐れがあります。最初は、第三者から伝えてもらうほうが良いです。

  • 執拗な申し入れ

    逆に相手方から訴えられかねません。

    月1~2回、多くて週1回程度であれば、大丈夫ではないかと思います。

  • 報復・嫌がらせ

    度を超えると、犯罪者です。

    気持ちは解りますが、壁ドン、その他、報復はやめておいた方が無難です。

    拳では、決して語りあえないと思います(笑)

いよいよ、行動です。

どのように解決したら良いかは、次ページ(解決に向けて)で解説しています。

H30.3 作成・公開